ルベーグ可測集合系の濃度
ルベーグ可測集合系とは, 中のルベーグ可測集合全体を指します. 以後, これをと書くことにします. さて, 目標はの濃度, すなわちを求めることです. これは, 私が数学基礎論のセミナーで読んでいたとある数学書に, 演習問題として載っていたものです. 解答はおろかヒントすら載っていなかったので, 苦労を強いられました...
さっそく証明に移りましょう. 後で明らかになりますが, 証明の核心は, ルベーグ測度0の非可算集合の構成にあります.
まず, 次の記法を用意します.
記法.1
部分集合, 実数に対して, と書く.
部分集合, 実数に対して, と書く.
次に, カントール集合を定義します. これがルベーグ測度0の非可算集合であることを, 後に示します.
(証明)
カントール集合が非可算であることを示すために, 次の補題を示そう.
補題.4
進展開でと表せる実数全体をとおく. このとき, が成り立つ.
進展開でと表せる実数全体をとおく. このとき, が成り立つ.
(証明)
であるから, を示せば良い. に関する帰納法で示そう. は明らかである. とする. を任意にとる. より, とのうち一方はに属す.*1 に属する方をとおくと, 帰納法の仮定より. 今, となっているので, . よって. 以上で, に関する帰納法によってが示された. したがって, が成り立つ.
(証明)